昨今、サラリーマンの副業への意欲は年々増しています。
大手人材サービスであるdodaの調査によると、サラリーマンの8.4%が「副業をしている」、16.6%が「副業を検討している」という結果でした。(2023年8月)副業をしている会社員の割合は? 副業の実態調査【最新版】社会人15,000人へのアンケート調査結果から、副業をしている会社員の割合、どんな副業内容か、いくら稼いでいるか、いつやっているか、さらには副業が認められている企業で働いている人の割合などを、詳しいデータとともに紹介します。
副業でより多くの所得を得る事ができる人がいる一方、増収によって気になることの一つに税金の問題があるでしょう。
この記事では、副業の確定申告により、いくらぐらいの税金がかかってしまうかをケーススタディでシミュレーションしてみます。
今後副業を始めようという方も参考にしてみてください。
そもそも確定申告とは?
確定申告とは、自営業者や個人事業主、会社経営者に年間の所得を税務署に申告させ、それぞれに適正な所得税を計算するためのシステムです。
一般的なサラリーマンであれば、その計算や申請は会社がやってくれますが、会社の給与とは別に所得がある人は(条件によっては)確定申告をしなければなりません。
確定申告をすることでその年の所得や経費、人によっては控除を自ら税務署に申告し、適正な所得税(および住民税)を算出します。
確定申告が必要な人の条件とは?
以下の条件を満たす人は確定申告が必要となります。
- 給与以外の所得が20万円を超える人
- 2か所以上の会社から給与や賞与の支払いを受けている人
以下の記事で詳しく紹介していますので参考にしてみてください。
その他確定申告をした方がいい例
・年末調整を受けていない状態で会社を退職し、再就職していない人
⇒確定申告をしていない場合、給与所得者は毎月の給与から概算して所得を得ているものだと計算されます。つまり、仮に11月に退職し12月の給与はもらっていない状態だとしても、12月は概算で給与が計上されその分過剰に税金を払う可能性があります。
・住宅ローンを利用して(一定の条件下で)新築住宅を購入した人
⇒住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン控除)を受けるためには確定申告での控除申告が必要です。会社員で毎年年末調整を実施する場合、2年目以降は確定申告不要ですが、初年度(住宅を買った年の翌年の2月)は確定申告にて申請が必要となります。
・災害や盗難での被害を受けた人
⇒雑損控除を受けるためには確定申告が必要です。
・年間10万円以上の医療費がかかった人
⇒医療費控除を受けるためには確定申告が必要です。医療費控除はセルフメディケーション税制と二者択一となります。
・ふるさと納税をしており、ワンストップ特例制度を利用していない場合
⇒控除を受けるためには確定申告が必要です。
税金はいくら徴収される?ケースごとに目安をチェック!(2024年度現在)
計算される税金は2種類
確定申告によって、以下2種類の税金が計算されます。
なお、文中の「課税所得」とは所得金額(収入全額から給与所得控除や経費を引いたもの)からさらに各種控除(医療費控除や生命保険控除など)を引いたものになります。
①所得税
累進課税が適用されており、所得の多い人ほど多く納税が必要となります。
計算式は、課税所得金額×税率-控除額です。
計算例:
課税所得が700万円の人の場合
⇒7,000,000×0.23-636,000=974,000(円)
※税率は国税庁のホームページを参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
②住民税
均等割と所得割の2種類が存在し、計算方法は
所得割:課税所得の10%
均等割:所得の大小に関わらず4000円 です。
計算例:
課税所得が700万円の人の場合
⇒均等割:70万円、均等割:4000円
よって住民税704,000円となります。
具体的なケースにおける税額シミュレーション
所得控除の計算方法は国税庁のホームページを参考にします。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1100.htm
ケース⓪年収400万円、副業をしていない人
・本業収入:総額400万円
・基礎控除:48万円※国税等HP参照
・小規模企業共済等掛金(IDECO):年間24万円支払い
・厚生年金:保険料率9%負担とする=400万円×0.09=36万円
・健康保険:保険料率5%負担とする=400万円×0.05=20万円
※雇用保険料は少額のため無視する、その他交通費なども含まない
本業における所得金額(総額-給与所得控除※国税庁HP参照)…
400万円-(400万円×20%+44万円)=276万円
課税所得…
276万円-48万円-24万円-36万円-20万円 = 148万円
所得税(税率などは上記国税庁ホームページ参照)…
148万円×0.05-0=74,000(円)
住民税…
所得割:148万円×0.1=148,000(円)
均等割り:4,000(円)
計 152,000(円)
<手取り概算>
収入総額:400万円
厚生年金:▲36万円
健康保険料:▲20万円
所得税:▲7.4万円
住民税:▲152,000円
⇒計:321.4万円
ケース①年収400万円、副収入60万円の人
・本業収入:総額400万円
・副業収入:60万
・副業経費:15万円
・基礎控除:48万円※国税等HP参照
・小規模企業共済等掛金(IDECO):年間24万円支払い
・厚生年金:保険料率9%負担とする=400万円×0.09=36万円
・健康保険:保険料率5%負担とする=400万円×0.05=20万円
※雇用保険料は少額のため無視する、その他交通費なども含まない
本業における所得金額(総額-給与所得控除※国税庁HP参照)…
400万円-(400万円×20%+44万円)=276万円
副業における所得金額…
60万円-15万円=45万円
課税所得…
(276万円+45万円)-48万円-24万円-36万円-20万円 = 193万円
所得税(税率などは上記国税庁ホームページ参照)…
193万円×0.05-0=96,500(円)
住民税…
所得割:193万円×0.1=193,000(円)
均等割り:4,000(円)
計 197,000(円)
<手取り概算>
収入総額:400万円+60万円
厚生年金:▲36万円
健康保険料:▲20万円
所得税:▲9.65万円
住民税:▲19.7万円
⇒計:374.65万円
ケース②年収300万円、副収入160万円の人
・本業収入:総額3000万円
・副業収入:160万
・副業経費:80万円
・基礎控除:48万円※国税等HP参照
・小規模企業共済等掛金(IDECO):年間24万円支払い
・厚生年金:保険料率9%負担とする=300万円×0.09=27万円
・健康保険:保険料率5%負担とする=300万円×0.05=15万円
※雇用保険料は少額のため無視する、その他交通費なども含まない
本業における所得金額(総額-給与所得控除※国税庁HP参照)…
300万円-(300万円×30%+8万円)=202万円
副業における所得金額…
160万円-80万円=80万円
課税所得…
(202万円+80万円)-48万円-24万円-27万円-15万円 = 168万円
所得税(税率などは上記国税庁ホームページ参照)…
168万円×0.05-0=8.4万円
住民税…
所得割:168万円×0.1=16.8(円)
均等割り:4,000(円)
計 17.2万円
<手取り概算>
収入総額:300万円+160万円
厚生年金:▲27万円
健康保険料:▲15万円
所得税:▲8.4万円
住民税:▲17.2万円
⇒計:392.4万円
節税をするには?
①副業における経費を適正に計上する
副業をする際にかかった諸経費はしっかり領収書を保管しておき、経費として計上しましょう。
②IDECOやふるさと納税を利用する
IDECOやふるさと納税は自分のためにお金を使いながら、効果的な控除をすることができます。もちろん現在の経済的な余力の範囲内での検討となりますが、積極的に利用することで節税効果が大きくなるでしょう。
まとめ
副業によって所得が増えれば、多くの場合税負担は大きくなります。
しかし給与所得と違い、経費の計上などよりフレキシブルなコントロールができるようになることが事業所得や雑所得のメリットだと言えます。
知識をつけ適切に節税しながら、副業ライフをより良いものにしていきましょう。
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